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対談

プログラミングスクールを経て,
エンジニアになる
という選択

はじめに

株式会社コードベリーには,2021年4月現在,プログラミングスクール出身のエンジニアが2名所属しています.この規模の会社としては珍しいことで,しかも,2名ともタイプの違うスクールを卒業.

コードベリーでは,VISIONとして「Be an engineer.」を掲げていますが,プログラミングスクールもこの道に続く入口の一つだと考えています.ただ,意外とインターネット上にはスクール経験者の生の声が少ないのも事実です.

そこで今回は,代表の福田を司会に,2名のプログラミングスクール出身のエンジニアの対談形式で,プロのエンジニアがスクール時代を振り返り,プログラミングスクールを経て,エンジニアになるという選択肢について語り合います.

各プログラミングスクール出身者の,当時の個人的な経験をもとにしているため,現在と異なる制度や情報が不正確な箇所がある可能性がありますが,ご了承ください.

目次

入学前

エンジニアを目指したきっかけ

福田
福田: 今日は,それぞれ通ったプログラミングスクールについて,詳しく話を伺わせてもらいます.入学に至る前に,「エンジニアになりたい」っていう想いがあったと思うのですが,まず,そのきっかけから教えてください.
A
A: フィリピンに英語留学したんですけど,その時にインターンとして学校事務で働いていたんですね.その仕事では,Excel 中心だったんですけど,それがIT部門のエンジニアによってVBAで作り込んでいたんですね.それで「プログラムでこんなに便利になるんだ」って実感したことを覚えています.
同時に,たとえ海外にいたとしても,プログラミングは英語以上の共通言語なんだな,世界中で重宝されるスキルなんだなっていうことに気付いたのが大きいですね.
B
B: 学生時代,将来を考えるにあたって,自分の武器となるスキルを何かしら持っておきたいと思ったんです.その過程で「何をやりたいか」見つめ直してみたものの,「自分の中にあるものだけじゃ選択肢として狭い」ってふと気付きました.
そこで,いろいろな人に会って話を聞こうと思い立ち,親兄弟のコネクションやSNSなどを駆使して,1,2ヵ月かけてほぼ毎日,行脚して回ったんです.
こうして得た話の中で,不思議とピンと来たのが「エンジニア」という道.よくよく調べてみればみるほど,「ああ,自分はこういうクリエイティブなことが好きだったんだな」と再認識できたんです.
実際,「Progate」や「ドットインストール」で初めてプログラミングに触れてみたところ,めちゃくちゃ感動したんです.まさに「Hello! World」で世界の扉が開けた感じだったことを覚えています.

「プログラミングスクール」という道を選んだ理由

福田
福田: 2人とも劇的な実体験からなんですね.そこから,プログラミングスクールに通おうってなった経緯はどんな感じでしょう?
A
A: Bさんも言うように,プログラミングを始めようってなった時に,ネット上には情報や教材やアプリもたくさんありますよね.なので,僕もはじめは独学を考えていたんです.
でも僕の場合,いろいろ試したんですが,あまり要領を得た実感が湧かなかったんです.「この勉強の延長線上で,果たして仕事になるのだろうか」と.そんな中,ネット上で「スクール通って就職する」という情報を見つけたわけです.
正直,「うん十万か……結構高いな」と思いつつも,100%に近い就職率に目が行って,「これなら投資は回収できるだろう」と.まあ,これだけ大金自腹切れば,「やらなくちゃ」ってモチベーションになりますしね(笑).
あとは,そもそも友人知人にプログラマーやエンジニアという職種の人がいなくて,情報源がネットにしかなかったことも不安でした.プログラミングスクールへ行けば少なくとも情報は入ってくるだろうという目論見もありました.
B
B: いろいろを話を聞いたり,調べたりする過程で,自然とプログラミングスクールのことは小耳に挟みますが,やっぱりなかなか踏み切れなかったですね.少なくないお金がかかりますから.
そんな中,Twitter 眺めていたら,アメリカ発祥の「所得分配契約(ISA,Income Share Agreement)」を取り入れたスクールの存在を知ったんです.「これならリスクも少ないし,なによりカリキュラムに自信があるのだろう」と,βテスト的な募集に申し込みました.けっこうな倍率だったようですが,選考を通過し,入学するに至ったという経緯です.

入学後

スクールに集まる仲間たち

福田
福田: 若い人の間では,やはりプログラミングスクールは登竜門の一つとして位置づけられているのでしょうね.実際に入学してみて,どんなバックグラウンドや,想いを持った同期が多かった印象ですか?
というのも,最近「フリーランスプログラマーになれば,南国暮らしのリモートワークで,年収1,000万円」とか煽られて,楽して稼ぎたい人とか,お金目当ての人とかが増えているのかなって思いまして…….
僕としては,技術という奥深い世界に憧れている人が多ければいいな,みたいな願望もありつつ…….
A
A: 安心してください,福田さん(笑).明らかにお金目的って人はあんまりいなかったです!「エンジニアの仕事っておもしろそう」って人が6割以上ってイメージでした.
福田
福田: まあ,冷静に考えると,「おもしろそう」だけで数十万払うのも勇気がいることなんですけど.そういう世界であって欲しいという想いはあります.僕自身もたとえば将棋やヴァイオリン習うってなった時には,好奇心とかその世界へのリスペクトがあったので.
就職するためとか,稼ぐためとか,それもたしかに大事なんですけど,僕は根源的に「プログラムは単純に楽しいもの」だと思っていて,その感覚ははじめにあって欲しいなと.それで気になっていたんですよ.
A
A: 興味ややりがいを重視している人が大半だったと思いますよ.関係あるかどうかわかりませんが,元公務員の方がちらほらいたのも驚きでした.安定した公の仕事の良さよりも,個の力を試せる,発揮したいという想いが優ったってことですもんね.
B
B: そうですね.お金先行というよりは,技術という武器を得て,自分の人生を大きく変えたい,って感じかもしれません.僕の同期は,元自衛隊とか元船乗りとかいましたから.お金は後からついてくるって感じじゃないですかね.
福田
福田: Bさんの同期のバックグラウンド,なかなかユニークですね.同期の中で,卒業してからも一緒に働きたいと思えるような人はどれくらいいました?
A
A: 同期は数十名いたので一概にはいえませんが,僕が日常的に絡んでいた同期に限れば,みんなそう思えました.おもしろくて優秀な人多かったですし.
B
B: 僕の場合,生徒の数が少なくて,同期7人全員と仲良くなりました.お昼休憩などでは一緒にご飯を食べたり,たくさんお話したりと,親睦を深めたのでこれからも公私ともに付き合っていきたいという想いはありますね.

それぞれのカリキュラム

福田
福田: 「類は友を呼ぶ」で2人の周りには優秀な人が多かったんでしょうね.続いて,それぞれのプログラミングスクールのカリキュラムについて,概要を教えてください.2人のスクール,まず大きな違いは期間が違うんですよね.
A
A: はい,僕は2ヵ月間で,それまでに全課程を終えていないと就職保証はつかないかたちですね.
B
B: こちらは3倍の6ヵ月間.卒業して就職後に後払いをするというモデルです.
A
A: 2ヵ月間の流れですけど,最初の2週間は,eラーニング教材を使って,決められたスケジュールでノルマをこなしていく感じでした.その日の分をこなすと100%,次の日までこなすと200%みたいに表示されるんです.
その進捗や達成度は同期全体に公開されていたので,そこで連帯感とか,競争原理とかが働いていましたね.1週間後には明らかな差が出ちゃうのが「見える化」しちゃうんですけど.
ここでちょっと罠みたいなものがあって,この最初の2週間は HTML・CSS からスタートするのですが,けっこうかんたんなので,たとえ適正あろうがなかろうがポンポン進むんです.「あ,できるじゃん」って成功体験積むにはいいんですけど,実はその2週間以内なら辞めてもお金戻ってくるしくみなんです.そして,HTML・CSSの後に,Rails でかんたんなウェブアプリを作るという課題があって,その後,飛躍的に難しくなって,そこでつまづいても,すでに引き返せない状態なわけです.
福田
福田: 技術習得の初歩段階って,等比級数的に難易度上がるのは事実なので,しかたないにしても,ちょっとタイミングがってことですよね.
A
A: そうです.個人的にはもうちょっと納得性があってもいいんじゃないかとは思いますね.さっき触れた Rails のウェブアプリの後に,個人でチャットアプリ開発するところまでが1ヵ月目です.
2ヵ月目はチームに分かれてグループワークで有名サービスを再現して,発表して卒業,といった流れでした.
福田
福田: 最後のグループワークですが,その元ネタの有名サービスはどれくらい再現できるものなんですか?
A
A: 正直,グループによってどこまで再現できたかは差がありましたね.最低限この機能は実装する,みたいな基準があって,それぞれメンターにチェックしてもらってクリアできたら合格みたいなかたちなので.
福田
福田: グループ内での役割分担ってどうなっていましたか?
A
A: まさにそこもこのスクールの課題の一つだと思っています.4~5人ごとのグループに別れるんですが,チーム内での役割分担がうまくいかず,担当する作業量にばらつきが出てしまっていました.こんな風に役割分担に偏りがある以上,スキル習得状況にも偏りが出る悪循環ですよね.場合によっては一部の人に全く作業をさせないチームもありました.
福田
福田: そういう人も卒業はできちゃいますもんね…….そうならないように,講師やメンターが役割分担等に口は出さないものなんですか.
A
A: そこは何もなしでしたね.そういう役割分担も自分たちで経験しようみたいな狙いだと思うんですけど,正直,いきなり「スクラム開発ね」ってなってもできるもんじゃありませんから.
福田
福田: ですよね.2ヵ月にかなり詰め込まれているからなかなか厳しい印象です.一方,Bさんのスクールは,6ヵ月間と3倍だから,だいぶ違うでしょうね.いかがでしたか?
B
B: まず,授業が開講される前に,事前課題があってそこで,HTML・CSSは書けるようになってからのスタートでした.そして,1ヵ月目は,Javascript.2ヵ月目はインフラに AWS,(Rails は使わずに)生の Ruby と SQL を使ってマイクロブログを再現するという課題でした.
ここまでで,個人でフロントからバックエンド,インフラまで一通り触れた,ということで,3ヵ月目からはチーム開発でした.ただ,いきなり実践に入らず,開発手法の勉強から始まり,役割分担や開発するアプリの企画などにけっこう時間を割いていました.
そして2ヵ月かけて作りきって卒業,という流れでした.
福田
福田: Bさんはチーム開発ではどんなアプリを作りました?
B
B: 同期7人が2チームに分かれて,それぞれアプリを開発したのですが,一方は iPhone アプリ,もう一方はウェブアプリでした.僕はウェブアプリを主に担当し,Ruby(Rails) で API 作ったり,インフラ部分は CI・CD や Dockerを構築したりしました.
福田
福田: やっぱり期間が2倍あると全然違いますね.どうでしょう,Aさんから見て.
A
A: はい,3ヵ月なんて一瞬で過ぎましたからね.Bさんのように6ヵ月あると,しっかり下地作って進めていけている感じがしますね.開発手法やその背景もしっかり,学べているみたいですし.
福田
福田: とはいえ,6ヵ月間という長い時間を確保するのは,たとえば現在在職中でキャリアチェンジを考えているなんて人からすると,厳しいのは事実だと思うんです.
サラリーマンが一念発起してプログラム学ぼうってなったらどうしても,短期間のものを求めちゃうと思います.
B
B: 実際,スクールに僕が通っていた時は,朝10時から夜20時までのフルタイムを半年ですから,社会人はもちろん学生のダブルスクールですら難しいでしょうね.
福田
福田: 相当腹くくって,半年間貯金で食いつなぐ覚悟が必要ですね.スクール側ももちろんその間のサポート体制はいろいろ考えているにせよ.

卒業後

卒業後の道

福田
福田: さて,それぞれのカリキュラムですが,それぞれどれくらい卒業できて,そして,最終的に就職してエンジニアになれるものなんでしょう?
B
B: ぼくの同期は7人全員卒業して,就職しました.半分くらいは第一志望の会社に入れましたね.
A
A: こちらは人数が多かったので正確な数はわかりませんが,同期数十名のうち,ストレートにカリキュラム終えて卒業できたのが,半分くらいでしょう.少なくとも就職保証・返金保証をもらえた人数で言えば.なので,その卒業できた人はほぼ100%,就職もできていますね.
福田
福田: ちなみにその卒業できなかった半分の人たちって,どういうタイプの人が多いか傾向はわかりますか?
A
A: なんか変な言い方になってしまうかもしれませんが,こちらのスクールの場合,じっくり理解しようとする人ほど最後までいけないことが多いかもしれません.
福田
福田: 納得するまで熟考して一歩一歩着実に理解していきたい性格だとつらいってことですか?
A
A: はい,それだとたぶん難しいでしょうね.スクールでは限られた期間でこなすべきことが決まっているので,言うなれば飛ばし読みじゃないと間に合わないスピード感だというのが大きいです.
福田
福田: それだと,本来エンジニア向きでも,スクールに通ったことによって潰れてしまう可能性があるってことですよね…….それはなんとしても減らしていきたい課題ですね.
A
A: そうですね.実際,仲良かったけど途中で辞めちゃった人は,すごい良い気づきを持っている人でしたし.

スクールで得たつながり

福田
福田: 2人も無事卒業してコードベリーに就職してくれたわけですが,スクール卒業後のつながりとして,同期たちとは,今はどんな関係性なのか,そして,スクール側からのフォローについても教えてください.
A
A: 卒業した後も飲みに行ったり,オンラインで交流したりしています.それぞれ別の会社へ行っているので,業界や技術のことなど,情報交換で得られるものは大きいです.
スクール側からは,就職して半年くらい経った頃,「何かあったら再就職などフォローしますよ」的な連絡があったくらいですね.
福田
福田: 定期的なきめ細かいフォローがあるわけじゃないんですね.
A
A: はい,ぼくはあまりメンターと絡みがなかったからかもしれませんが.
B
B: スクール側からの卒業後のフォローとしては,自分の希望する会社に就職できなかったり,納得いかない部分があったりした場合は,半年間の通常カリキュラムに加えて延長する制度は当時ありました.僕は使いませんでしたが.
福田
福田: Bさんの場合,就職後にお金を支払っていくしくみ,ということで,少なくともお金のつながりはあるわけじゃないですか,人的なフォローも引き続きありますか?
B
B: はい,講師から,最近どう?みたいな連絡などはたまにあります.
福田
福田: Bさんのスクールのほうが人と人とのつながりは感じますね.仲良くなった同期たちとは最近どうですか?
B
B: コロナ禍になってからも,Zoom 飲み会など,ちゃんと仲良くしていますね.みんなそれぞれ活躍しているみたいで,励みになります.

学んだスキルは現場で活きるのか

福田
福田: 続いて,実際にエンジニアとして現場で働くようになった立場から振り返ってみて欲しいんですが,プログラミングスクールで学んだことが,どう業務に役立っているのか,ってことが知りたいです.技術そのものだったり,考え方だったり,仕事の進め方だったり,いろいろあると思いますが.
B
B: API 開発の部分は,間違いなくスクールに通ったおかげで身についたものだと思います.まったく知らない状態からのスタートでしたが,APIそのもののみならず,そのAPIがどういうしくみでインターネットを介して動作しているかなど,インフラやネットワークに至るまでを体系的に理解し,実践できたので.役立っていますね.
A
A: まずは,一つの言語,僕の場合は Ruby・Rails についてしっかり学ぶとっかかりとしては良かったですね.あとは精神的な部分ですが,一つの現場に慣れてきても,決して井の中の蛙にならず,スクールではすごい人がいっぱいいたなあとか,広い視野で考えられるのは大事ですし,短期間ながらいろいろな経験ができるので,それもエンジニアとしての糧になっている気がします.
福田
福田: 逆に,「これは現場で重要だから,スクールで教えておいて欲しかった」って技術はありますか?
B
B: う~ん,細かいところで言えばあるかもしれませんが,それは現場にもよると思うので.僕としては大局的には特にないです.ある程度網羅性があったと思います.
A
A: 僕の場合は,SQL・データベースですかね.通っている間も「現場ではデータベース,大事だよ」とか噂は聞いていたものの,Rails だと直接データベースを触ることが少ないので…….
福田
福田: Aさんのスクールは短期間でかたちにするために,ブラックボックスのまま扱えるところは,なるべくそのままにしておこうっていう発想なんでしょうね.

まとめ

スクールのメリットとデメリット

福田
福田: では,ここまでのまとめも兼ねて,プログラミングスクールに入学するメリット/デメリットを挙げていきましょう.
A
A: プログラミングスクールの一番の意義は,「門戸開放」だと考えています.いきなり独学で技術身につけて,業界に自分で売り込んでっていうのは難しいと思うんですよ.そういう意味で,今エンジニアになる,その敷居は確実に下がっていると思います.
それに僕の場合,入学して,エンジニア仲間ができたのがまず大きい.エンジニアになる,っていうことが身近になりましたから.
B
B: 学習の効率化も大きいです.わからないことは自分で調べるよりも,知っている人に聞くのが,正しい理解も深まるし,時間も無駄になりません.もちろん,数時間かけて自力でエラーの原因を探ることにも意味はあるんですけど,やっぱり困った時,いざという時に頼れる人がいるっていうのは,明らかに安心ですし,モチベーションも続くでしょう.
あとは,Aさんが言うように,一緒に頑張れる仲間も含めた人脈も重要ですよね.さらに,講師が本当にプロフェッショナルな方々ばかりで,技術を小手先ではなく,原理的に説明してくれることが多かったのも良かったです.
福田
福田: では,逆にデメリットを挙げると?
A
A: なんとかプログラミングスクールの扉を叩いたものの,適性が合わない,興味が続かないなどで,うまくいかなった場合に,それなりのお金が無駄になってしまうってことくらいじゃないですかね.
福田
福田: そういう意味だと,Bさんの通っていたスクールは,就職できなかった場合は,費用がかからないという意味では,そのデメリットはないと言えますかね?
B
B: そうですね.細かい条件はあれど,基本的にはそこが解消されているしくみですね.
福田
福田: デメリットって言えるかどうかわかりませんが,最近だと,「プログラミングスクール出身」っていうだけで,ちょっと色眼鏡で見られたりとかするケースもあると思うんですが,2人の実感としてはどうでしょうか?
A
A: ちょうど僕が通っていた頃から,一部でそういう話が出てきたと思うんですけど,僕自身は特に何も感じなかったですね.スクールに通っていたことしか語るべきことがなければ別ですが,他にアピールするところを用意すれば,気にすることじゃないって思いますよ.
何かとプログラミングスクールって話題に上りますが,時には「闇」とか「搾取」とかまで言われたり(笑).でも,それもひっくるめて認知が広まる一端を担っているとも言えると思うんで,僕はどんなかたちであれ話題になるのはありかなという立場ですね.
B
B: 僕も特に気にならなかったです.単なる入口の話であって,結局はその人次第だと思いますし.

プログラミングスクールという選択肢を薦めるか

福田
福田: Aさんの同期の中には卒業できなかった人もいるわけですが,2人としては,総合的に「プログラミングスクール」という選択肢は,エンジニア志望者に薦めたい道だと言えますか?
B
B: 正直言えば,人によると思います.僕が通ったスクールに関しては,フルタイム,かつ,かなり厳しかったですし,要所要所で関門があるので,特に人を選ぶという意味で.かなり本気であれば,逆に薦めたいですが.
A
A: もしプログラミングスクールを考えている方がいたら,そのしくみ,カリキュラム,はてはビジネスモデルまで,ちゃんと理解したうえで,入学して欲しいところです.周囲にも,理想や期待とのギャップを感じて,途中で辞めちゃったケースが多かったので.
とはいえ,表向き出ている公式の情報からだと読み取れないのも課題かもしれません.そういう意味では,卒業いかんによらず,入学した人の生の声がもっと知られていかないと,って心から思います.
福田
福田: そもそも体験入学制度みたいなものってないんでしたっけ?
A
A: 少なくとも僕が通っていた当時はないですね.たしかに,スクールの中でも,自分に合ったスタイルかどうかもけっこう大事ですし,さっき触れたようなカリキュラムのスピードもスクールによってだいぶ変わってきますし.
B
B: 大局的に見れば,どこのスクールでもやれること,学べることに大差はないと言えばないので,本人次第ってところが大きくなってしまいますよね.だからこそ,僕自身がスクール探しで基準にして見ていたのは,講師の質でした.
実際,講師が学生インターンなんてスクールもあって,さすがに現役エンジニアじゃないと不安は抱きますよね.かといって,全員すばらしい講師ばかりなんてことも難しいので,少なくとも良い講師の方が最低一人でもいれば,毎日質問したり議論したりってことはないと思うので,問題ないのかなとも思います.
A
A: たしかにスクールとしてやることはそんなに変わらなくても,「人」の面では差が出ますから.その点,こちらのスクールは,メンターと生徒の数のバランスが悪かったですね.そのメンターが必要な時にいなかったり,いても質にばらつきがあったりしました.結果的に,僕はメンターとはほとんど接点なく終わってしまった感じです.
福田
福田: えっ,でも費用としては,メンターというサービス込みの料金なわけじゃないですか.クレームになることなかったですか?
A
A: もちろんなっていましたよ!僕の場合,なんとか自力で解決したり,先に進んでいる同期に聞いたりして,最後まで凌ぎましたが.でも,メンターが機能しなくてドロップアウトという例はそれなりにあったと思います.メンターやキャリアドバイザーの制度があっても,最初だけで,だんだん尻すぼみになっていくパターンもありますし.
福田
福田: それでも本部的には,本人が悪くて辞めた,みたいな扱いになっちゃうんでしょうね…….僕もスクールの経営者の方やエンジニアと話する機会がありましたが,やっぱり,講師の質は議論のポイントになりましたね.まず,講師として以前に人として,というレベルから(笑).
B
B: そうですね.スクールの経営者や講師の方々が,生徒に対して「どんなエンジニアになって欲しいのか」っていう価値観を抱いているかが重要なんでしょうね.
僕自身,3~4ヵ月目には,「ちゃんと就職できるかな」って焦っていて,そういう近視眼なところしか見えてなかったのですが,常に「エンジニアにとって大事なのは現場で活躍できること」と啓蒙してくれたのは良かったと思っています.
単に「就職率を上げる」ことだけじゃなく,その人の人生まで見て考えてくれている経営者や講師の数が多ければ多いほど,人とのつながりも広がっていって,良いスクールになっていくんじゃないかと.
福田
福田: 人に向き合う講師が必要で,たくさんいればいるほど良いとは思うんだけど,ビジネスでやってる以上,そういう人ばかりをかき集めるのも難しいし,マンツーマンに近づけると当然費用もかかってきて,比例して受講者が払う金額も当然高くなっちゃうんですよね.
A
A: 以前住んでいたシェアハウスのメンバーがまた別のスクール通っていたのですが,そこは比較的人数が少なかったこともあってメンターとの接点が多めだったとは聞いています.料金はそれほど変わらなかったとは思うのですが.
福田
福田: やっぱり考え方が出るのかもしれませんね.

プログラミングスクールとは自分にとってどんな存在か

福田
福田: では最後に,2人にとって「プログラミングスクールとは自分にとってどんな存在か」を一言いただいて,締めにしましょうか.
B
B: 僕にとっては「高校生活」みたいな感じでした.明るい未来を信じて,友だちと一緒に勉強しに通う場所,みたいな.
A
A: 僕は「原点」ですかね.ここから勉強を始めて,エンジニア人生が始まったわけですから.これから待ち受ける将来にワクワクもありつつ,いっしょに0からスタートした仲間がいて.
福田
福田: それぞれの一言から,2人とも,技術の学びに楽しさを感じながら通っていたのが伝わってきます.コードベリーでも,そういうエンジニアという仕事の純粋な「楽しさ」みたいなものを,体現していきたいですよね.2人とも,ありがとうございました.